澤田隼人様
行政書士

23歳で開業した行政書士が、年間1000万円以上の仕事を取り続ける秘訣
- 行政書士で成功する方法と呼ばれるものは世の中に多い。しかし、その成功事例の中でも多くが30代40代以降の開業が多く、20代での開業というのは決して多くない。私自身、23歳で独立開業し、開業当時は東京都行政書士会最年少だった(2003年当時)。年齢が若いということは、エネルギーにあふれているという利点はあるものの、経験や知識で負けてしまうことも多い。インターネット上では、若い行政書士が活躍しているように見えるが、実際は表面だけで、現実的には稼げていないということも、仕事柄知っている。
今回、取材をしたのは私と同じく23歳で独立開業した名古屋の行政書士、澤田隼人氏。愛知県岡崎市で開業した彼は、またたく間に業績を伸ばし、名古屋へと進出。ライバルがひしめく名古屋という場所で、いかに1000万円以上の仕事を取り続けるのか。今回は、伏見に事務所を置き、LEGALBACKSの会員でもある「ほみにす法務事務所」の澤田隼人行政書士に取材を依頼した。 - 開業から今を振り返ると
- 「2009年に開業したので、2016年で丸7年というところですね。岡崎から名古屋に移ってから、さらに好調になりました。開業3年というところで移転しました。単純に岡崎市は約40万人。名古屋市は220万人以上。そういう違いもあると思います。それから、コンセプトとしては『行く』というより『来てもらう』というスタンスに変えたことも大きいかなと思います。名古屋市の方が効率はやはりいいかな、と。ただ、最初の頃はまったくダメでした。やばかったですね(苦笑)。仕事も取れないし、話す相手も自分の犬くらい…(笑)。車のバッテリーもすぐ上がるし(※)。」
※車はときどき乗らないとバッテリーが上がりやすくなる
今では名古屋では名の知れた若手行政書士である澤田さんも、やはり開業当初は苦しかったようだ。それは、澤田さんのサイトに掲載してあるプロフィールを見れば、よく分かる。 - 開業の頃、どのような営業をしましたか?
- 「税理士さんを回りました。アポ無し訪問もあったし、紹介もありました。税理士さんはやはり様々な仕事を抱えているので、仕事を紹介してもらいやすいのではないかと。でも、ただ行ってもダメなので、少なくとも相手してもらえる時期を狙いました。確定申告の時期とかは当然外しますし、3月決算が終わったあととか、そういうことは考えていました。
前の事務所(※)にいたってことは大きいです。税務も登記もいろいろな勉強ができました。そういう意味では、23歳で開業といっても、若干の経験はあったといえると思います。」
※澤田さんの前職は名古屋のファミリアグループ。司法書士法人、税理士法人など複数士業の法人を持つグループ - 他にはどのような営業をしましたか?
- 「地元にミニコミ誌みたいなものがあるのですが、そこに広告出稿しました。これは当たりました。内容は相続で出したのですが、確か3万円くらいの広告費ですが、かなり反応が良かったです。媒体を狙わないとこういうのは当たらないと思うのですが、やはり地元には地元の人がよく読むもの、というのがあるんです。それを狙いました。」
開業当初に、広告出稿に積極的なのは、実は珍しい。それは、お金がなくなることに誰しも恐怖があるからだ。だから、反応が取れるかわからない広告出稿を躊躇してしまう。しかし、実は広告を控えれば控えるほど、露出は減っていくわけで、起業家としては正しい判断をしたと言える。それも、媒体を選ぶという分析力も。
ミニコミ紙への広告出稿となるとどうしても発行部数をひとつの目安にしてしまう。1万部より2万部。2万部より3万部というようにだ。しかし、実はそれ以上に大事なのが精読率。読まれていない媒体にいくら出しても反応は当然取れない。そこを澤田さんは考え、媒体を選び抜いた点は慧眼である。 - 事務所経営に不安は?
- 「不安は実はあまりなかったです。前の事務所の給料よりは、なんとか稼げるのではないかと…(笑)。ただ、仕事の紹介元が5つくらいできたときですかね。その時は、『これはいける』と感じました。紹介元が5件あれば、月に1〜2件は確実に仕事が来ますし、そういった紹介発生源を抑えることが重要だと考えています。ただ、例えば、税理士からの紹介であれば、それぞれの税理士さんの商圏を分けるとか、そういうことは考えていました。」
- 最近は、どのような営業活動を?
- 「最近は、外に営業するようにしていますね。ネットからの集客はまずまずうまくいっているので、ネットで会えない人に会いに行く。そこから大きな仕事につなげるために。サイトからは、僕のサイトは『行政書士 名古屋』で検索するとGoogle検索でだいたい1ページ目に表示されるので、そこから仕事が来ています。契約書とか、会社設立とかですね。ただ、最近の傾向として面白いのが、Facebookでも調べているということ。そこで交流関係なんかを見て、共通の友達がいたりすると、成約率が高いです。」
検索エンジン対策は、長期戦だ。いつGoogleの仕様が変わるかわからない。しかし、時間をかけて対策をすれば、結果が出るということも証明されている。澤田さんの「実践力」には本当に驚くばかりだ。
「とにかく、すぐやることだと思うんです。東京で行われた横須賀先生の講座も、先日聴かせていただきましたが、セミナー受講中にもうサイトの修正なら修正を考えて、テキストをつくってしまう。帰りの新幹線の中で、サイトの更新なんかもして、名古屋に着く頃にはもうできている。そういうスピード感って大事だと思うんです。今後も、動画のマーケティングや交通広告なんかも面白いって声を聞いているので、すぐにやってみようかな、と考えています。
とにかくすぐに実践する。これは成功の大きなキーワードのようだ。そして、実践しながら考える、計算する。
「例えば、起業家でも経営者でも、パソコンを使っていますよね?最近はMacをつかう人も増えましたけど、やはりなんだかんだ多くの人がWindowsを使っている。だから、こないだはWindows10の記事を書いたんです。勝手にアップデートされて困っているというのが話題になりましたよね?だから、アップデートを回避する方法を書いた。そうすれば、勝手に記事が検索されるし、まとめ記事なんかにもなったりする。そうすると自然と露出が増えるので、ブログはそういう活用をしています。他にもちょっと前なら、マイナンバーの記事を書いたのがヒットしました。」 - 今後は、どのような事務所を目指すのか
- 「今後は、事務所を大きくするというよりは、スペシャリストになりたいと思っています。なんというか、大型総合事務所というよりは、提案ができる、問題解決ができる事務所。言い換えると、なにかを「ひねり出したい」んですよ。他の事務所で解決できないことを仕事にして、高単価の事務所を目指していきたい。そういうのが今後の目標です。だから、仕事としては広範囲に渡ってもいいと思うし、今では北海道や広島での仕事なんかも増えてきました。」
高難度、高報酬業務はある意味今後の士業の目指すところであり、トレンドだ。代行系の仕事は、どんどん安くなる。澤田さんは、もうそれを見据えているのだ。 - あえて「成功の秘訣を挙げてください」と言われたら、何を挙げるか
- 「よくありますよね、この質問(笑)。私の場合は、3つ。まずよく聞く、よく読む。音声なら、移動しているときも何をしているときも、セミナー音源やポッドキャストを聞く。とにかくインプットしなければ進まないんです。誰よりも勉強すれば、負けない。そういう考え方です。
2つ目はやはり自己投資。LEGALBACKSなんかもそうですが、自己投資なしに成功は本当にない。横須賀先生だけでなく、色んな学びにお金を出しています。もう、いくら投資したかわからないです。そのくらい、重要なことだと思ってます。
最後がとにかくすぐやること。誰かに「この本がいいよ」と言われたら、スマホでその場で買うとか。小さなことですが、とにかく早く、すぐにやる。正しい学びがあって、すぐにやる癖づけをする。成功の秘訣というにはちょっとシンプルかもしれませんが、やはりそういうことなんじゃないかと思います。」
行政書士は食えるのか、食えないのかという議論は大昔から行われてきた。ネット掲示板でも、行政書士に関しては「食えない」論者も多い。しかし、現実的には澤田さんのように成功している行政書士は存在する。重要なのは、正しく学び、自己投資し、実践すること。とくに情報について、ネットで検索できる現在、世の中はどんどん平等になっている。つまり、どれだけ早く実践できるか、という点が成否を分けるだろう。
開業から7年、未だ成長を続ける澤田隼人行政書士の活動は、今後もまだぜひ取材させていただきたい。 - 澤田隼人(さわだ はやと)
- デザイン・エグゼクティブ・オフィサー(DEO)/マーケティング・デザイナー
昭和60年12月9日生まれ。愛知県岡崎市出身・在住。山中小学校・東海中学校・岡崎北高校・南山大学法学部出身。23歳で行政書士事務所を自宅にて開業。開業半年で貯金残高が8321円を記録するなど,ジリ貧を味わったが,ランチェスター戦略と,資格起業家メソッドを使って,4年目には名古屋駅前に事務所を移転。現在,会社設立を中心にした中小企業の法務支援を行政書士として取り組み,年間に100社以上から相談・依頼を受けている。また,人の感情を考えたマーケティングには多くのお客様から評価得ている。